【書評】プロカメラマンFILE 2019 写真撮影のヒントも満載。唯一のプロカメラマン年鑑
弊サイトにプレスリリースを掲載したことがきっかけで、ボーンデジタル様よりプロカメラマンFILE 2018をご献本いただきました。
内容はタイトルのままで、日本中のプロカメラマン(商業カメラマン)の仕事と作例を紹介するというものです。
主な使い方としては、作例を見て仕事を依頼するためのものだと思いますが、写真趣味の私としては、仕事の依頼はしないですが、その作例は非常に気になるところです。
というわけで、本来の使い方ではない方法でこの本を活用することとなりました。
ところで写真を撮っていると、ある時自分の腕に限界を感じる事があります。
例えばアングルが固定化されてマンネリ化した写真ばかり量産してしまうとか、構図を考えるのがめんどくさくて自分が撮りやすい写真しかとらなくなるとか。
こういう状態が続くと、写真がおもしろくなくなって撮る機会も減じてきてしまいます。
多くの教本(サイト含む)で大きく唱われているのは「撮影機会を増やして経験値を貯めろ」という話です。
これは事実なのですが、やみくもに撮影機会を増やしても写真はうまくなりません。というか、うまくなりませんでした。
そこで構図や露出などの勉強を始めるわけですが(この手の教本は、死ぬほど撮影回数をこなしてから読んだほうがいいと個人的には思います)、その勉強の延長上に「写真集を見る」というものがあると個人的には思っています。
例えば気に入った写真を見つけたら、その写真をマネして撮ってみたいと思いますよね?
あらゆる創作の源泉はマネやコピーからはじまりますが、それは写真も同じです。漠然と撮っていた写真に芯が通るのは、これら写真造りの理屈やイメージが固まってきた時かなと思うわけです。
そういう意味で、プロの作例などは非常に勉強になると私は思っています。
さて、このプロカメラマンFILE 2019は、そのようなプロの作例がたくさん掲載されている本です。
掲載されている写真はコマーシャルフォトとして実際に使われたものもあり、価格がつく写真とはこういうものだ、というのを総覧できるのもポイントが高いです。
もちろん、あらゆる写真に価格をつけるべきではないし、私のような素人の写真に価格がつくはずがないのですが、それでも世間的に評価された写真を見るということは、上記にもあげましたが有効な教材になるものだと私は思います。
さて本の使い勝手ですが、ファッション、ポートレート、ウェディング、ドキュメンタリー、コマーシャル、フリーテーマと章立てされていて、読みたい項目がすぐに分かるようになっています。
現在の私はポートレートにハマってますので、ポートレートの章を精読しているわけですが、これからカメラマンとしてやっていきたい人などは、ファッション、ウェディング、コマーシャルあたりを読むべきでしょうし、ドキュメンタリーもその分野で生計を立てたいカメラマンにはありがたい教材になるでしょう。
素人としては、全ての写真をみていいところを吸収するという使い方でいいと思います。実際、カメラが趣味などと言うと、結婚式の写真を頼まれたりしますからね(一部の式場ではカメラの持ち込みが禁止されているようですが)。そういう事態にも対応できるように、写真を見ておくのは勉強になるでしょう。
ちなみにテキスト部はカメラマンのプロパティだけで、あとは全部写真という本です。
3000円という価格で若干お高いですが、掲載されている写真の量を考えるとそれほど高くは感じないかもしれませんね。
広告代理店、デザイン事務所なら経費で買えるので、プロカメラマン選定という本来の使い方と同時に社員教育にも使えるかもしれませんね。
(文/赤蟹)